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平谷村の伝説 竜にとりつかれた雲谷寺の鐘

昔、雲谷寺(うんこくじ)に観牛(かんぎゅう)という和尚さんがいたころのお話です。

観牛和尚は三河の惣右衛門(そうえもん)に頼んで雲谷寺の鐘を作ることにしました。

村の人たちは、初めてお寺に鐘が出来るというので、大切にしていた金物をお寺へおさめにやってきました。

その金物類は、馬10頭で運ぶほどもあったといいます。

出来上がった鐘は、上品な形をしており、その音色は、うっとりとして我を忘れるほどの美しさでした。

観牛和尚は、さっそくお供を連れて鐘を受け取りに行きましたが、その帰り道、寒狭川(かんさがわ)を舟で渡ろうとしたところ、川の真ん中まで来たとき、舟はピタリと止まってしまいました。

そして、あたり一面に重苦しい空気がただよい始めました。

この怪しげな様子に気づいた観牛和尚は、舟のへさきに立って、大数珠(じゅず)をサラサラと揉みながら、お経を唱えました。

やがて、数珠を一振りすると、中糸が切れて、数珠が水中に飛び散りました。

すると、不思議にも、舟は動き始め、鐘は無事に運ばれて行きました。

舟を止めたのは、美しい鐘に取り付いた、寒狭川に住む竜の仕業で、この竜は、なお鐘に未練を持ち、それから後は、雲谷寺のお寺淵に住みついたといいます。

「竜池山(りゅうちざん)雲谷寺」という名も、そこから出ているそうです。